■ 仏徳禅師筆 遺偈

去れども去らず
留れども留らず
月は西に沈み
水は東に流れる
瞎驢不会普化
直綴一鐸 声
尽きて碧天悠々喝
正慶元年七月四日
珎重山中衆本元
      (花押〉

紙本 縦22.7cm 横32cm
 明治以後改装し、巻止めに「開山大和尚辞世偽」と墨書されている。 箱は江戸時代のもので、蓋裏に 「開山大和尚辞世偈 永保寺」、裏に「開山和尚遺偈之箱雲外沖寄附」とある。
仏徳禅師は正慶元年(1332)7月4日趺坐して寂した。
 遺偈はその人の悟りの境地を示すもので、余人の解釈の及ぶものではないが、あえて解すれば 「月は 西に沈み、水は東に流れる。諸行無事の姿である。 しかし、本体は去れども去らず、留めても留まらぬ ものである。 自分の51年の一生はちょうど眼の不自由な馬がうろうろしていたようなもので、普化禅師の如き禅も学も力もない。 今日、直綴(僧服)一着の姿でチリチリと鈴の音とともに去っていくが、(これ以上湧き出る煩悩も尽き)あお空のみは悠々としてかわることがない 」の意である。